細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』を観た感想

 どうも森羅です。先週7月16日に公開された映画、『竜とそばかすの姫』を観ましたので個人的な感想を書きたいと思います。

1.あらすじ

本格的な感想の前にあらすじを。

舞台は田舎の高校で、主人公の内藤鈴は内気で引っ込み思案な女の子。クラスでの人間関係に馴染めず、友達もほとんどいない彼女ですが、数少ない友達であり良き理解者である別役弘子から仮想空間『U』を進められ、インストールする。そして自動作成されたBellというAs(仮想世界Uにおけるアバターでありもう一人の自分ともいえる存在)と一体化しUの世界へとダイブした途端、彼女の秘められた才能が開花する。現実世界では緊張してうまく歌えない彼女だが、なぜかUの中ではうまく歌えたのだ。拙いが、彼女の歌は聞く人の心を捉え、瞬く間にその名は広まっていき、弘子のプロデュースもあって、Bellは『U』の世界の歌姫として絶大な人気を誇るようになる。

そしてある日、Uでのコンサートの最中にトラブルが起こる。コンサートの途中で突如ドーム内に醜い竜の姿をしたAsとそれを追う複数のAsが乱入。追っている方はUの世界の秩序を守ると豪語しているジャスティスという組織の一員達。次々と襲い掛かってくるジャスティス達を倒していく竜。竜はUでは有名な悪名高いプレイヤーだった。コンサートを滅茶苦茶にされたすずと弘子は何としても竜の正体=プレイヤーの素顔を突き止めようとする。

そうして、Uの世界で竜を追ううちに、竜の抱える秘密が徐々に明らかになっていき、現実世界のすず達にある決断を迫ることになる。

2.感想

感想ですが一言で言うと、現実世界では内気で自分を上手く出せない少女が、Uというもう一つの世界での経験を通して少しだけ成長する。そんな物語でした。不思議の国のアリスのような話と考えると分かりやすいでしょうか。正直感動しました。特に最後の方の演出は素晴らしい。この作品では思春期の人にありがちな悩みや、SNSを通した昨今の人間関係の問題、家族との距離感など様々なテーマが含まれていますがそれらが見事に調和されていて、違和感なく観ることができました。

後は主人公すずの歌が普通に上手い。映画を観終わってから調べたのですが、声優さんではなくてプロのミュージシャンの方がやっているようなのでそりゃ上手いわけです。物語冒頭からいきなりBellの歌から始まりますからそれで一気に作品世界へと引き込まれます。

観る価値は十分にある映画だと思いますが、ストーリーに関しては細かい気になる箇所が個人的には多々ありました。

気になるのは仮想世界Uの設定の曖昧さ、ちぐはぐさです。まず、Asの見た目などを登録者が自由に設定できないのはどうなのか?と疑問を持ちました。「Uで新たな自分を生きよう」などと作中では謳っていますが、自分でAsの見た目を決められないのでは、新たな自分も何もないような気はします。Bellのような人型のAsならいいけど、異形の見た目のAsをあてがわれでもしたら普通は発狂ものではなかろうか?まあ、作中ではむしろBellのような人型のAsの方が少なく、皆コミカルなモンスターみたいなAsばかりなんですけども。その割にUの世界の治安を守っていると自称する正義集団『ジャスティス』の見た目は白いタイツにアメコミ風のヒーローのような顔で統一感がある。謎ですね。

メタ的なことを言えば内気なすずがBellのような美形のAsを作成するとは思えないからそういう設定にしたのだと思う。

その他にも、Asのデータが破損して使えなくなるほどボコボコにする竜という危険なAs及びプレイヤーを運営側が野放しにしているなど気になる点がある。まあ、運営が対処したら話自体が成立しなくなるので仕方ないことではありますが。もう少し理由が欲しかった。

色々と言いましたが細かい粗や小さな矛盾などはどの作品でもあることですし、それでも全体として面白ければそんなことは全く気にならないんですよ。この作品は細かい設定の粗を補って余りある良さがあると思うので、観て損はない作品だと感じました。

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森羅と木漏れ日の図書館1
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