映画『ブルーサーマル』を観た感想
森羅です。今日は3月4日に公開された青春映画、『ブルーサーマル』を観に行ったのでその感想を書きたいと思います。
1.感想
この映画を観た正直な感想としては、青春ものとしても部活ものとしてもどちらも中途半端な作品だなと思った。ガチガチの部活モノを期待して観に行ったら肩透かしをくらった。航空部に入って強豪校と熱い競争を繰り広げる話かと思えばそうでもなく、かといって人間ドラマとしては描写や掘り下げが充分では無く感情移入しづらい。なんというか、原作5巻分の内容を全て100分ちょっとの中に詰め込みましたという感じで、話にあまり深みがないんだよね。そこが残念。良く言えばテンポよく話が進むけど如何せんテンポが良すぎて全体的にあっさりとしている。5巻とはいえその内容全てを100分ちょっとに収めるのは無理があったかなあと思う。尺の都合上しかたないんだろうけど空知先輩と打ち解けるの早すぎだし他の部員との距離もいつの間にか縮まってるし。もう少し何かあっても良かったのでは?とモヤモヤした。
後は色々と説明不足な点も気になった。グライダー競技って普通の人には馴染の薄い競技なのに、大会ではどういうことをすれば高得点に繋がるとか、そもそもどうやったら勝なのかといった説明は一切なし。そのため競技シーンを見ても緊張感が湧かないし、何をしているかも分からない。スクリーンの中の部員達と感情がイマイチリンクしないのは圧倒的な情報不足が原因だろう。野球やサッカーのようなメジャーなスポーツならいちいち説明しなくても観客も分かるだろうけどそうじゃないならちゃんと説明は入れた方がいい。
そして、登場人物の掘り下げもできればもっとやって欲しかった。尺の都合上仕方ないんだろうけど、登場人物が多い割にはよく分からない人物が多い。もっとこの人とこの人は仲がいいとか一人一人の関係性や性格が分かるようなシーンがあればいいなと思った。主人公の都留たまきと一緒に入部した1年生4人組とか作中では名前すら分からないし。
それから後半の展開も無理やりシリアスな展開にしようとしている感じで強引に思えた。まあ、これは原作からしてそうなんだろうけど。
タイトルのブルーサーマルも後半はあまり関係ないし。つかまえると幸せになれる風=ブルーサーマルはストーリー序盤の倉持先輩とのフライトで既に乗っちゃってるからなあ。これが大会でここから逆転するにはブルーサーマルに乗るしかない!!みたいな展開だったら燃えたんだけどそういう胸熱な展開は残念ながらない。
と、色々と不満を挙げてしまったけどいい所も当然ある。まず、声優さんの演技がいいところ。主人公の都留たまきの声は、堀田真由さんという新人の女優の方が演じてるけど普通に上手い。感情豊かなたまきちゃんをよく演じられていると思う。彼女はよく地元の方言を喋るがそれも可愛い。
次に、青空の描写が綺麗で美しいこと。空が舞台の映画だからそこに力が入るのは当然といえば当然かもしれないけど。都留たまちゃんのように空を自由に飛びたいなと思わせる綺麗さ。
まあ、色々と粗はあるけど改善すれば名作になり得た映画だと思う。興味のある人は観に行ってもいいかもしれない。それとエンディングは普通に名曲。