他人の声の色が見える少年と声の出せない少女の物語。君の声の色に耳をすませてを紹介。

最近中々疲労がとれない森羅です。今度休日に温泉に行ってゆっくり浸かってこようかなと思います。

さて、今回は冬の寒空の中、心温まる本を紹介したいと思います。

それは小川晴央さんの「君の声の色に耳をすまして」を紹介します。

作者の小川晴央さんは2014年2月にメディアワークス文庫にて『僕が七不思議になったわけ』で作家デビューを果たした新進気鋭の新人の作家さんです。

この方がデビュー後から一年後に書いた作品が『君の声の色に耳をすませて』です。

デビュー作の『僕が七不思議になったわけ』はまだ読んでいないのですが、『君の声の色に耳をすませて』は読んでみてとても良かったです。個人的にはこの寒くて何となく感傷的になりやすい季節に読んで感動してもらいたいなと思ったので、今回はこの本を紹介したいと思います。

1.あらすじ

この物語の主人公である杉野誠一は人付き合いが苦手な芸大性です。彼には人には言えない特殊な部分がありましてそれは他人の声の色が見えてしまうということです。どういうことかといいますと、他人の声を聞いただけでその人が抱いている感情が頭の中に色で浮かんでくるというものです。例えば表情は怒っていなくても、その人の声を聞くと怒りを表す赤色が頭に浮かんできて本当は怒っているんだなと分かってしまう。という風に。主人公はこの能力のせいで人と関わるのが怖くてなるべく人と関わらないようにしていました。それは大学生になっても同じ。唯一関わりがあるのは変わり者の多い芸大でも群を抜いて変人の我妻先輩のみ。

そんな彼はある日、先輩から講義の単位を取るために短い映像作品を作ることになり、先輩を通じて一人の少女と出会います。彼女の名前は川澄真冬。事情により声が出せない彼女は今回の映像制作の手伝いをしたいのだという。テープに録音した姉の声を映像に入れることを条件に。声の出せない彼女がなぜ主人公と先輩の映像制作を手伝いたいと言い出したのか。そこにはある秘密が・・・・。

まあ、あらすじはざっとこんな感じです。

私も学生時代は人付き合いが苦手だったので主人公にはすごく共感できました。相手の気持ちとか、本心を考えると怖くて中々人と話せなかったんですよね。この主人公はそういう人の心理とかをうまく表していると思います。人と関わるのが苦手な人はこの本を読むと、あ~分かる。こんな風に私も思ってしまうと、納得できると思います。

むしろ我妻先輩のようにあけすけにものを言えるような人の心理が知りたいですね(笑)。まあ、思ったことをすぐに言ってしまうのもそれはそれで大変だと思いますが。

2.この作品の魅力

この作品の魅力と言えばまず、美しい筆致で描かれた文章だと思います。舞台が芸大ということを意識しているのかは分かりませんが、作者さんの持ってる美しい感性がそのまま滲みでているような綺麗な表現や情景描写が出てきます。それに洗練されているので非常に読みやすいです。

次に主人公の成長ですね。最初は自身の能力を忌み嫌い、人と関わるのを避けていた杉野誠一君ですが、変わり者の我妻先輩と喋れない川澄真冬との映像制作を通して徐々に変わっていきます。そして、最後の方で川澄真冬に放った言葉がとても印象的でした。何というか人と真摯に向き合うことの大切さや苦しさみたいなものを教えられた気がします。

そして、我妻先輩のキャラも良かったですね。芸大の中でも群を抜いた変人で、主人公を数合わせで無理やり合コンにつき合わせたりとはた迷惑な先輩ですが、人付き合いが苦手でネガティブになりがちな主人公とは対照的に底抜けに明るいというか陽気で、この作品における彼の存在感は大きかったですね。先輩なりに主人公のことを思ってやっていたことも結構あって、変人だけど決して悪い人ではないし主人公の心の支えにもなっているんですよね。そばにいたら鬱陶しいけど、いなかったらそれはそれで寂しい。そんな感じの人柄で最後まで一切ブレなくて、なんだか微笑ましく感じてしまいました。

最後に、話の構成も良かったと思います。最後の方まで読むと分かるのですが最初から結構伏線が散りばめられていることが分かります。それが不自然に感じない程自然に。そして物語後半の主人公があることに気づいてからの怒涛の勢い。推理小説並みに点と点が結びつき線となっていき終息へと向かっていく。後半は勢いに流されて一気に読み進めてしまいましたよ。そして感動しました。

3.まとめ

この本は上述しましたが人と向き合うことの苦しさとか大切さが分かる本だと思います。

著者の小川晴央さんはまだデビューして二年目の新人作家さんです。まだ著書が少ないのでこの作品を読んで気になった方は今のうちに他の作品も読んでしまってもいいかもしれません。小川さんの作品に今後も期待したいと思います。

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森羅と木漏れ日の図書館1
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