管理社会の恐怖を描いた小説。『新世界より』を紹介。

皆さんこんばんは。森羅です。もうすぐクリスマスですね。そしてそれが過ぎたらもう正月がくる感じですかね。個人的には12月25日を過ぎるとテレビなどのメディアも一気に年越しムードになる気がします。

さて、時期とは全く無関係ですが今回はタイトルにもある通り、管理社会の闇と管理される子供達の恐怖を描いた小説『新世界より』を紹介したいと思います。

以前にもこのブログにも書いた通り私は人が死ぬ小説というのはあまり読みません。特に凄惨な死に方をするようなものは。苦手なんですよね、そういうの。

今から紹介する『新世界より』は多くの人が死にますし、結構内容もシリアスというか暗いので、はっきり言って私の嗜好には合わないです。では、なぜ読んだのかというと2012年にアニメ化されたからです。以前からタイトルを見て気にはなっていたのですが、中々読む気にはなれずにいました。しかし、アニメ化して実際にアニメを見て続きが気になり、買って読んだ次第です。やはり映画化やアニメ化の影響って大きいですね。まあ、それで読んでしまう私も単純なのかもしれませんが(笑)。

さて、前置きが長くなりましたが早速紹介していきたいと思います。

概要

小説『新世界より』は貴志祐介さんが描く作品で上下巻合わせて1000ページ以上に及ぶ長編小説で、2008年に第29回日本SF大賞を受賞しました。

あらすじ

今から1000年後の日本。人々は呪力と呼ばれる念動力(サイコキネシス)を得ていた。豊かな自然あふれる神栖66町は周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれ、穢れが一切入ることはない。早季、覚、瞬、真理亜、守の五人は全人学級で同じ班となり、平和な日々を過ごしていた。ところが、同じ班だった天野麗子や同級生の片山学が学級から自然と姿を消すなど不穏なことが起きる。しかしその時はまだ違和感は感じさえすれど気にするようなレベルではなかった。だが、夏季キャンプに出かけた際、早季たちはミノシロモドキという謎の生物と遭遇する。それは生物の姿を模した国立国会図書館を名乗る自走型情報端末であった。そこで早季達は1000年前の文明が崩壊した理由と学級では教えられなかった現在までの血塗られた歴史を知ってしまう。そこから大人たちが管理する社会に疑念を抱き始めるようになる。そして真実を知った早季達の偽りの平和に満ちた世界は徐々に歪に壊れ始めていく。

この作品の魅力

この作品の魅力はまず、描かれている美しい日本の情景だと思います。本の帯にも病的に美しい日本というキャッチコピーがあったように、自然豊かで、美しい日本の描写がされています。時代は今から1000年後ということになっていますが、文明は今よりも衰退しており、昔の日本の田舎のような街並みをしています。そこが逆に良くて、どこか儚げなところを感じさせます。

それから、物語に登場する様々な生物も魅力ですね。今から1000年後ということで歪な進化を遂げた生物が数多く登場します。ミノシロやカヤノスズクリ、オオオニイソメ、バケネズミなど多種多様な生物が出てきます。特にバケネズミは物語にも大きく関わってくる存在で、作中でも人間と共存関係を保っています。物語を読んでいるとそれら生物の生態や行動などに興味惹かれることがあるでしょう。

そして、引き込まれるような物語も魅力でしたね。徐々に怖くなってくる感じがたまりませんでした。幼少期に聞かされていた「悪鬼」や「業魔の真実が分かる場面や、自分が信じていた平和な社会に実はこんな闇が潜んでいたというような、物語を進める度に分かってくるこの世界の残酷さというようなものがうまく描かれていると思います。あまりうまく言葉では表現できませんが、子供の思考や感情までも大人が巧妙に誘導、管理しているという恐ろしい世界とそこに抱える問題や矛盾を非常に上手く描けていると思います。

また、ホラー的な要素ばかりではなくて、冒険小説的なスリルもあり、単に怖いとか恐ろしいだけではない面白さがあります。

最後に

私はこの作品がアニメ化されてから、興味本位でこの作品を読み始めたことは上記にも書いた通りです。悲惨な死に方をする人がたくさん出てきますし、正直苦手な場面は多々ありましたが不思議と読んでいて苦痛に感じませんでした。それどころか続きが気になって下巻を買ってからはすぐに読み始めました。そして気づくと翌朝まで読んでいたんですよね。読み終わった後、心には何とも言えないものが残りました。人が人を管理するということの愚かさや危うさ、一度内部から崩れると誰にも止めることのできない現代のシステム。この作品を読んで作者の方から色々とメッセージを受け取ったような気がします。

それでは、是非気になった方は読んでみて下さい。

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森羅と木漏れ日の図書館1
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