辻村深月さんの『凍りのくじら』を読んだ感想

どうも、森羅です。今日は昼からラーメンを食べに言っていました。こってりとしたラーメンでスープが胃にもたれます。最後まで飲むんじゃなかったと若干後悔しております。ラーメン自体はとてもおいしかったですけどね。また食べに行こうと思います。

前置きはこのくらいにして、今日は辻村深月さんの小説『凍りのくじら』を紹介したいと思います。この小説、タイトルだけを見てもどんな内容かわかりませんよね。気になって目次を開いてみると、そこにはなんとあの国民的アニメ、ドラえもんに登場する秘密道具の名前がずらりと並んでいるではないですか。さらにどんな作品か気になりました。そこで興味を持って購入してみたというわけです。500ページ以上あるので結構勇気がいりましたけどね。

1.凍りのくじらってどんな本? あらすじ

目次にドラえもんに登場する秘密道具の名前が使われている通り、ドラえもんに関係のある話です。主人公の芹沢理帆子は幼い頃からよく本を読んでおり、父親の影響もあってドラえもんが好き。そして彼女が尊敬するドラえもんの作者、藤子・F・不二雄先生の遺した言葉『ぼくにとっての「SF」は、サイエンスフィクションではなくて、「少し不思議な物語」のSF(すこし・ふしぎ)なのです。』に影響を受け、それ以降、スコシ・ナントカという言葉を読書以外でも意識するようになります。

彼女は自分と関わる人の性質を整理するためによく頭の中でS(少し)F(ナントカ(フレッシュやフラット等、Fから始まる単語が入る))と藤子先生の言葉になぞらえてラベル付をしています。その方が頭で整理しやすいからだという。

父親は有名な写真家でしたが数年前に重病を患ったまま失踪。母親も現在入院しています。主人公の芹沢理帆子は頭も良く顔もいい。そして友人たちとの関係も表面上は上手くやっているが、どこか納得いかない。それは友人たちが自分と同じレベルの話ができないと思っているからであり、そのために本気で関わることもできないからだった。そんな鬱屈とした日々を送る中、ある日芹沢理帆子は別所光と名乗る人物と出会う。そして彼は彼女に写真のモデルになってくれるよう頼む。

2.読んだ感想

主人公の芹沢理帆子ちゃんは頭はよくて、顔もいいけど、人間関係ではどこか一歩踏み出せないというか達観していて、身の回りの人にスコシ・ナントカと頭の中でラベルを張り付けている。どこか冷めた感じといいましょうか、それでいて周りと浮かないよう上手く立ち回っている感じの高校生です。他人とは深く関わらないのに、元彼の若尾大紀とは未だに月に数回は会っていて、どうにも断ち切りがたい関係にあるという。この作品では様々な人との距離感というものが出てきます。母親や失踪した父親、元彼、親戚のおじさん等、様々な人と彼女の関係性が綿密に描かれ、そしてそれが彼女に影響を与えていきます。読んでいて話自体はそんなに明るい話でもなく、人とどう接するべきかということに思い悩む主人公の姿がひたすら描かれているような気がします。最後に藤子先生の言葉通り、SF(少し・ふしぎ)なことが起きますがそれで全てが解決するというわけでもなく、最後の方は何となく後味の悪い終わり方だったと思います。一応最後はいい方向で終わるんですけどね。結局周りの人は皆主人公のことを大切に思ってくれていたわけで、そのことに主人公は気づかされて、これからは素直に生きようと決めるわけですね。

後、元彼が気持ち悪い奴だなと思いましたね。友達のアドバイス通り、素直に縁を切っていれば何ともなかったのに、彼女も元彼を何となく利用していたというか結局互いに依存していたような状態だったのでしょうかね。段々とエスカレートしていく元彼の態度や行動が非常に気味が悪かったですね。

まあ、一言で表すのは難しい作品ですが、少なくとも読んでいてつまらないということはなかったと思います。ただ、勘のいい人は途中で答えにいきついてしまうかもしれません。読めば確実に何かは残る作品だと思っています。それでは今日はこの辺で。

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