君と夏が鉄塔の上を読んだ感想

最近体調を崩しがちな森羅です。さて、そろそろ読んだ本が溜まってきたのでまた本の紹介をしたいと思います。今回よんだのは賽助さんの『君と夏が鉄塔の上』です。タイトルから大体わかると思いますが、ひと夏の出会いと別れをテーマにした青春小説です。

1.あらすじ

鉄塔マニアの主人公、伊達は中学生最後の夏休みをダラダラと過ごしていました。しかし登校日に、顔はいいけど変わっている同級生、帆月蒼唯(ほづき あおい)から、鉄塔の上に男の子のが座っていると声をかけられ二人で見に行くことに。するとそこには本当に着物を着た小さな男の子が座っていた。そして、次の日から幽霊が見えると噂される比奈山も巻き込んで、謎の男の子の謎を解き明かすための日々が始まる。

2.主な登場人物

伊達 成美(だて なるみ)

本作の主人公で鉄塔マニア。中学では地理歴史部に所属し、部長の木島は工事現場マニアでお互い他人に理解されない趣味を持っているという共通点から気が合う友人である。物語開始時点では何の目標もなく無意味に夏休みを過ごしていた。しかし、帆月蒼唯や比奈山と毎日のように関わるうち、これからの目標というものを意識し始める。

帆月  蒼唯(ほづき あおい)

顔は可愛いけど自転車で空を飛ぼうとするなど変わり者であり、中学では要注意人物のような扱いを受けている。去年まではそのような変わった行為をすることもなかったという。様々な部活に入ってはすぐにやめるという行為を繰り返してもいた。そして主人公の鉄塔に関する本について書かれた読書感想文を読んで、伊達に興味を持ち、鉄塔の上の男の子のことを話す。性格は活発で明るい。奇行とも言える彼女の行動の数々には実は秘密が・・・・・・

比奈山 優(ひなやま ゆう)

幽霊が見えると噂される主人公の同級生。幽霊騒動により、幽霊が見えるのではないかと色々と噂されるようになってしまい、それからは不登校気味だった。元は人当たりが良かったが騒動のせいで心が荒んでいる。主人公とは挨拶程度の関わりしかなく、今は受験のため塾に通っている。主人公より背が高い。

木島(きじま)

主人公の同級生で地理歴史部の部長。受動的な部員が多いため、部の活動は実質彼の熱量だけで成り立っていると言っても良い。工事現場マニアで工事は終わりがあるから美しい、工事現場の機材には決して触ってはならないなど独特の美学を持つ。主人公を何度かプールに誘う。

3.読んだ感想

これまで一緒に学校生活を過ごしてきても、あまり接点がなかった伊達、帆月、比奈山の3人が、鉄塔の上に座っている男の子の謎を解き明かそうということで、中学生最後の夏休みを共に過ごす。その過程でお互いが打ち解けあい、段々と距離が縮まっていく様子が上手く描かれていると思いました。鉄塔の上の男の子の正体も気になりますが、主人公の伊達と帆月の関係が読み進める毎に気になってきましたね。主人公は最初帆月のことを変な奴くらいにしか思っていなかったけど、段々と意識するようになっていき、これもう完全に惚れてるだろということが読んでいて分かってしまうんですよね。文章では明確に好意を表すような表現はしていませんが、夏祭りに誘った時にどんな服装で来るのか楽しみにしていたりと中学生らしい爽やかな恋愛感情がそれとなく表現されています。

そして物語では幽霊が出ると噂される工事途中のマンション、リバーサイド荒川に行って、幽霊の正体を確かめたり、自転車で空を飛ぶという帆月の夢を叶えようと3人で空飛ぶ自転車の開発に挑戦したりと中学生らしい等身大の冒険が描かれていて、微笑ましい気分になりましたね。また、主人公が二人の事情を知り、悩み、葛藤した末に成長する場面も印象的でした。物語を通して3人の関係性というか距離感も大きく変わっていますし、正に青春小説といった感じでした。ラストもドキドキハラハラさせてくれる展開で、主人公に感情移入しっぱなしでしたね。

ただ、不満があるとすれば、結局何が最後に起こったのかは分からないままなんですよね。色々と想像できるように伏線が結構ありましたが。詳しいことは読者の想像に任せるということなのか、それともあえて多くは語らない方がいいということなんでしょうかね。そこが少しモヤッとするところではありました。しかし、それ以外は文章も読みやすく、中学生が終わって高校に上がろうかという少年少女の揺れ動く気持ちなどを鮮やかに描いているので、雰囲気はとても良かったです。興味がある人は読んで損はない作品だと思います。

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森羅と木漏れ日の図書館1
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